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コラム column

浜松市で市街化調整区域で家を建てるには?

家づくりを進めていく中で多くの方が直面する問題があります。 

そう土地探しです。 

ご実家の近くがいい、お子様の学区を変えたくない、出勤に便利な立地がいい。 

皆様、様々なご要望を持って土地探しをされています。 

いまは、アットホームなどの土地情報サイトで簡単に情報を入手できますから、 

お客さんから「こんな土地あったけど、どう思いますか?」なんてことを聞かれることもしばしばございます。60坪以上あって、価格も相場より圧倒的に安い。そんな魅力的な土地情報をお客様から頂くこともありますが、残念ながらその方が建築をするのは不可能な土地であることがほとんどです。 

これは、都市計画法という法律が関係しています。 

では、家を建てられる土地、建てられない土地はどうやって判別したらいいのでしょうか? 

これを知るだけで、皆さんの土地探しが一気に捗ること間違いなしです! 

 

目次

 

 

①市街化調整区域とは

冒頭で都市計画法というワードが出てきましたが、都市計画法とは、何か分かりやすく説明すると、【その街に住む方々が快適に暮らしやすい街づくりをしていく為に定められたルール】です。例えば、閑静な住宅街のど真ん中にパチンコ屋さんができたらどうでしょう?農業が盛んなエリアに工場が急に建ち並んだらどうでしょう?ルールがなければ無秩序のぐちゃぐちゃな街並みになってしまいますよね。それを防ぐために都市計画法があるという訳です。

この都市計画法のなかで都市計画区域というものが定められています。

この都市計画区域は、市街化区域市街化調整区域という大きく2つに分けられます。

市街化区域とは、いわゆる街づくりを推進する区域です。シンプルに家を建てられるエリアだと思って下さい。

市街化調整区域とは、農地や森林守るために市街化を抑制する区域です。こちらは原則家を建てられないエリアだと思って下さい。

このように区域分けをすることで、秩序のある街並みを守っている訳ですね。

冒頭でお話しした、60坪以上の相場より安い土地で家が建てられないというのは、その土地が市街化調整区域の土地だったからという訳です。

市街化調整区域では原則家を建てられませんが、浜松市に関しては緩和措置があり、市街化調整区域でも家を建てられる方法が実はいくつかあるんです。 

市街化調整区域の土地で家を建てるメリットデメリットに触れながら、市街化調整区域での建築方法をご紹介できればと思います。

 

 

②メリット

■ 価格が安い

圧倒的なメリットとして価格の安さが挙げられます。

その土地を購入できる人が限られている(あとで説明します)為、売りづらい。

市街地から離れていて住環境的に不便なケースが多い。などの理由から市街化区域の土地よりかなり格安で買えるケースが多いです。

■ 土地面積が広い

浜松市において市街化調整区域で建築を行う際は、敷地面積が最低200㎡(約60坪)以上必要になりますつまり60坪以下の土地では市街化調整区域では住宅を建てられない(一部例外あり)ので、必然的に土地面積が広くなるという訳です。

 

 

 

③デメリット

造成・インフラ整備等費用がかかる可能性が高い

基本的には、田んぼや畑などの農地を家が建てられるような土地に整地するという作業が必要になってくるため、その造成費用というものがかかってきます。

田んぼを思い浮かべて頂くと分かりやすいですが、田んぼは水を貯める関係で道路よりも低くなっていると思います。そのままの高さで家を建てると雨水が敷地内にどんどん溜まってしまうのが想像つくかなと思います。それでは困ってしまうので、盛り土と言って敷地内に土を入れて、道路よりも敷地を高くしてあげる必要があります。土を入れたらその土が外にもれないようにブロックや擁壁で敷地を囲ってあげる必要もでてきます。これは、土地が広ければ広いほど費用がかさんできます。土地の状況によりかかってくる費用は変わってきますので、造成費用は見積をしっかり取ることが必須です。

またどうしても市街地から離れていると、水道菅や下水菅が敷地の前まで通っていなかったり、電柱の設置が必要だったりするケースもございます。そうなると、水道菅の延長や、電柱設置費用など思いもしない費用がかかってしまいます。

あまりにも安すぎる土地は、このあたりの費用がかなりかかってくる可能性が高いので、注意が必要です。

住宅ローンに影響がる場合がある

市街化調整区域の土地は、担保評価が市街化区域の土地に比べて、低く設定されています。金融機関は、住宅ローン融資の際、お客様が万が一返済が滞ってしまったケースを想定して、土地と建物を担保に取ります。土地の担保評価が低いと、金融機関としては融資するリスクが高くなってしまうため、希望の借入金額が満額借りれなかったり、場合によっては融資を受けられないケースも出てきてしまいます。

これも一概に無理という訳ではないので、金融機関に相談してみるのが一番良いでしょう。

 

 

 

④市街化調整区域での建築方法

パターン①

 ■ 大規模既存集落制度

浜松市で土地探しをされている方は、耳にしたことがあるかもしれません。

市街化調整区域で建築を行う際の、代表的な制度です。

誰でも使える制度という訳ではなく、いくつかの要件を満たした方のみが使える制度になっています。

では、大規模既存集落とは一体どんな制度なのでしょうか?

【この制度は、市街化調整区域に長年居住している方(またはその子)が、長年居住してきた指定集落への集住による地域コミュニティの維持を目的として制定され、都市計画法施行令及び市条例で規定されております。持家がなく世帯を有している方を対象とし、居住している地域(連合自治会区)の中にある大規模既存集落内の土地に、自己専用住宅を建築できる制度です。】※浜松市HP抜粋

ここでいう長年居住とは、20年以上+現在も1年以上住んでいることを指します。すごく簡単に説明すると、20年以上住み続けている地元(連合自治会区)であれば、たとえ市街化調整区域だとしても、この制度を利用して家を建てることが出来ますよというものになります。

申請者が持ち家を所有していないことや、他に住宅を建てられそうな土地を所有していないことなど他にも条件はありますが、一番のハードルが20年以上住んでいるかという点になります。ご実家も対象になるので、ご実家の要件でこの制度を使う方が非常に多い印象です。

誰でも買える土地ではないので、価格もかなり安く設定されていることが多いです。

ご実家の近くに住みたい、地元で暮らしたいという思いがある方にはぴったりの制度ではないでしょうか?

 

パターン②】

■ 市街地縁辺集落制度

市街化調整区域の中でも、市街地縁辺集落というエリアが存在し、そのエリア内であれば、一定の要件を満たす土地であれば建築が可能になるという制度になります。

前面道路が4m以上あることや、下水道が通っていることなど、いくつか要件があります。

市街地縁辺集落制度の特徴としては、土地自体が要件を満たしていれば、建てる人の要件は特に問われないという点です。つまり誰でも購入でき、建築ができる土地になります。

その為、市街化調整区域ですが、それなりの価格で売買されることが多いです。

 

パターン③】

■ 線引き前宅地制度

そもそもこの都市計画区域(市街化区域、市街化調整区域)というものは、昔は存在しませんでした。しかし秩序ある街並みを守っていくために、浜松市は昭和47年11月1日を境に、市街化区域、市街化調整区域と市内を線引きをし、暮らしやすい街づくりを推進してきました。

この線引き前宅地という制度は、昭和47年11月1日より前、つまり市街化調整区域に指定される前から宅地だった土地に関しては、特例として住宅の建築が可能になるというものになります。こちらも誰でも購入でき、建築ができる土地になりますので、市街化調整区域ですが、それなりの金額で売買されることが多いです。

 

詳しくは、浜松市のHPをご確認いただければと思います。

https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/tochi/home_tochi/home/kensido/chousei/index.html

 

 

⑤まとめ

多くの方が直面する大きなハードル【土地探し】。近年住宅の価格も上昇しており、土地はなるべく低予算で抑えたいという方も非常に多いかと思います。 

そんな中で、大規模既存集落の制度を利用したいという声もとても多く頂きます。 

今回のコラムでご紹介した内容は、あくまで入門編程度の内容になります。 

農地で家を建てるためには、他にも許可申請が必要だったり、場合によっては家を建てられる状況に至るまで1年以上期間が必要になったりするケースもございます。 

しかし、うまく活用できれば土地予算をかなり抑えて、広々とした土地で家づくりをすることが可能になります。 

このコラムを通して個人的に、皆様に一番お伝えしたかった内容は、ネットなどに掲載されている土地の販売価格を鵜呑みにするのではなく、他にかかる費用をしっかりと事前に調べて、トータルでいくらかかるのかを知っておくことが大事だということです。 

市街化調整区域で家を建てる一番のメリットはやっぱりコスト面だと思います。 

思っていたより安くならなかった。これなら市街化区域の土地にすればよかった。 

なんてことにならない為にも、不動産屋さんや住宅会社の担当者さんにしっかりと相談をしてみてください。 土地探し成功のコツは資金計画にアリです!

 

皆様のお得な家づくりの参考になれば幸いです。 

 

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この記事の制作者
  ■ 浜松・静岡・愛知エリアにて注文住宅事業を展開し、2023年に創業50周年を
   迎える住宅会社。累計棟数約4000棟の家づくりのお手伝いをさせて頂き、
   ハウスオブザイヤーインエナジー優秀賞7年連続受賞。
  ■ 有名建築家『谷尻 誠』氏や『藤原 徹平』氏と共同プロジェクトを組み、
   モデルハウス建築の実績あり。
  文章:中安 祐大

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