建物面積
1F床面積:67.9㎡(20.54坪)
2F 〃 :60.71㎡(18.36坪)
敷地面積
128.61㎡(38.9坪)
工法
木造在来軸組工法
工期
5ヶ月
「どこに居ても心地いい」を追求したカタチ
昭和の新興住宅街という、今も自然に恵まれた閑静な立地。鳥のさえずりや風で木々がそよぐ音、雨の音さえもBGMとなる環境は、「家を楽しもう」「暮らしを楽しもう」というお二人のコンセプトを実現するために、欠かせないものだったことが分かります。
「書斎からの景色優先で土地を決めました」というお二人。言葉通り、吹き抜けを介して広がる景色は、森の避暑地にある別荘に来ているような気分が味わえます。
さらに「家中どこにいても落ちつきゆったり過ごせるように」と、家のデザインと同時進行で、空間の雰囲気をイメージ。インテリアや照明だけでなく植物に至るまで、「こんな佇まいのものを、ここに置く」と、計算しながらデザイン・色・質感・配置などを決めていったそうです。ときには、インテリアや照明を決めて、空間イメージを作っていった部分もあるとか。
空間それぞれの雰囲気に合ったアイテムのチョイスは絶妙で、森の中の美術館に来たような気分になってしまいます。
こだわった漆喰の壁が、モダンさを和らげて、どこにいてもしっとりとした空気に包まれる空間を実現し、いい仕事をしています。
想像を超えたデザインの提案に惚れて軌道修正
「実は、最初に希望として伝えたイメージは、ギリシャのサントリーニ島の雰囲気でした。地中海に映える青と白のコントラストに憧れていたんです」
家づくりのエピソードをうかがうと、奥さまの口から驚きの言葉が返ってきました。
リゾートスタイルから、どのようなプロセスを経て今のデザインになったのかが気になります。
「夫婦間でもイメージが違いましたし、幸和ハウジングさんからもいくつかデザインをご提案いただきました。すべてが違うジャンルで、方向性も違いましたが、私たちが何を一番大切に考えているかというところを、言葉から背景や意図を感じ取ってくれているのが分かる、本質がブレていないデザインばかりでした。迷いに迷って着地したという感じでしたが、結果は大満足です」とご主人。
ここで幸和ハウジングが大切にしたことは、「お施主さまのご希望するイメージが変わっても、本質を見極めること」。
ものづくりのデザインをお仕事にされているからか、次々にイメージをふくませていくご主人と、憧れのイメージをふくらませながらも現実的な目線を忘れず、ご主人のセンスに寄り添う奥さま。そんなお二人は、イメージの振れ幅が大きいデザインが提案されても、良いものは良いと受け入れる柔軟性と許容範囲の大きさで、楽しみながら方向性を固めていったようです。
違うもの、良いものをすり合わせながら打ち合わせ、決定したデザインは、最初とは方向性が変わったものの、壁をすべて漆喰にして白い壁を実現するなど、本質は変わらずありました。
そんな家づくりの過程で、一番悩ましかったのがリビングの空間作り。
ご主人は、テレビ背面をゴツゴツしたワイルドな石壁にしたいとのご希望でしたが、住まいパートナーと設計士が何とか軌道修正するという、やんわりとした攻防があったそう。
「今思うと、石壁の石の選択は空間をつくるうえで、一番大事なものだったことが分かります。石壁だけでなく、素材やデザインに惹かれてチョイスする僕の視点を、いつもちょうどいいところで止めてくれた野末さんに感謝です」と笑いながらエピソードを語ってくれたご主人。同じように、ダイニングキッチンの雰囲気も検討していきました。
「床板をダークウッドにしたらかっこいいのは分かっていました。けれど、システムキッチンやダイニングテーブルと椅子が黒とグレーを基調にしていたので、ただでさえ無骨な雰囲気のキッチン周りが男前になりすぎてしまうなと。石壁と同じく、雰囲気をやわらげたかったので、ナチュラルに近い色を選びました。ここで床板をダークウッド、石壁をロックフェイスにしていたら、LDKはすごくワイルドになってしまって、家の雰囲気を壊してしまっていたでしょうね」
細かな部分にこだわって、全体のイメージとすり合わせる。いろいろ時間をかけた家づくりは仕事より楽しかったと、ご主人も、奥さまも終始笑顔で振り返っていました。
アウトドア派がおうち時間を楽しむインドア派に
イメージ通りの心地いい家を創り上げたお二人。休日の過ごし方がガラリと変わり、家で過ごすことが多くなったと言います。
「家がすごく心地良くて、出掛けなくてもリフレッシュできてしまう。特に変わったのは、夜の過ごし方。就寝の1時間前はテレビを消して、音楽をかけてリラックスする時間を必ず作っています。吹き抜けになっているから、2階の寝室にも音楽が聞こえるし、1階のSiriにも声が届くので、空間が繫がっているのもゆったりできて良いですよ」と奥さま。1日の疲れをリセットしてくれる時間が作れるようになったのも、この家の魅力だと言います。
そしてご主人は、庭を森にする計画をこっそり練っているようです。
「テラスのハンモックでゆらゆらしている時間が大好き。すでにある木がいい雰囲気を出しているので、将来森になったらいいなと思っています(笑)。そして、BBQだけじゃなくテントを張って庭キャンプもしてみたいです」
さらに、和室に小さなダイニングセットを揃えて、和食を楽しむことも習慣にしてみたいとも。
家づくりを楽しみ、理想の住まいを手にしたお二人は、新しいライフスタイルをつくり続けていく楽しさを見つけたのでした。