コラム column

木造で地震に強い家を建てるには?

まず初めに、新年の能登半島地震にておきまして、被災された方々に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。皆様のいつもの日常が一日でも早く戻ってきますよう、心より願っております。

 

建築業界に従事するものとして、改めて耐震性の重要さや、日本の耐震基準の実情など、

これから住宅を建築される方々や、既に住居を構えていらっしゃる方々と共に理解を深め、

正しい家づくりに今後も努めていかなくてはならないと感じました。

 

皆様の命を守る住宅をご提供するために、「倒壊0を目指す家づくり」を幸和ハウジングは目指していきます。

 

今回のコラムでは、木造住宅での耐震性の高め方や、現行の建築基準法の基準などに触れながら、

弊社での取り組みも含めご説明していきたいと思います。

 

 

目次

 

 

地震に強い家の選び方

 
「今はどの住宅会社もしっかりやっている」「国の基準をクリアしているなら安心」
耐震性の話をするときに、お客様からそんな言葉を耳にすることがあります。
 
確かに、どの住宅会社に話を聞いても、自社の耐震性については自信満々に話をしてくれると思います。

各社それぞれのこだわりがあって、色々聞いていたら結局どれがいいのか分からなくなってしまう。

その結果どこも大丈夫だろうという思考になってしまうのかなと思います。

 

正直、自分がお客様の立場でも同じ思考になってしまうと思います。

ただ耐震性に関しては、絶対にこれをクリアしたほうが良いという指標が明確に2つあります。

 

これを覚えておくだけで、よりフラットな視点で住宅会社を比較することができると思います。

ご存じの方も多いかもしれませんが、まずはその2つをご紹介できればと思います。

 

耐震等級

住宅の耐震性を比較する材料として、耐震等級というものが存在します。

等級1-3までの3段階に等級が分けられており、等級1が建築基準法の耐震性能を満たす水準。もっと簡単に言うと、震度6-7程度の大きな地震が来ても倒壊、崩壊しないレベルです。

等級2が、等級1の1.25倍の地震に耐えられるレベル。等級3が等級1の1.5倍の地震に耐えられるレベルです。

 

 

結論からお話すると、絶対に耐震等級3を取得している住宅会社を選んでください。

震度7の地震が2回も起こった熊本地震では、耐震等級3を取得した建物は倒壊0だったという実績があります。ちなみに現行の耐震基準でも等級3以下の建物は、7棟倒壊しています。

あくまで現行の基準では、一度の大地震に耐えることしか想定していないということです。

大きな地震が複数来る可能性、余震が何度も来る可能性を見据えて、耐震等級3は必須だと考えます。

 

 

構造計算(許容応力度計算)

耐震等級3が必須だというお話をしましたが、そもそも耐震等級自体を取得していない住宅が、

今現在も存在していることはご存知でしょうか?
耐震等級の取得はいまの法律では、任意になっております。耐震等級3相当なんて表記の仕方をする会社さんがありますが、これは少し注意が必要です。これはまたあとでご説明します。
 
 
 
建物構造の安全性を確認するための計算方法にも、実はランクがあります。
ピラミッドの上に行くほど、高ランクで緻密な計算を行っています。

これも結論からお話しすると、構造計算(許容応力度計算)を行っている会社さんを絶対的におすすめします!

いまの建築基準法上では、仕様規定と呼ばれる簡易計算を行い確認申請を通せば、簡単に住宅を建てることができます。しかし仕様規定では、耐震等級を出すことが出来ません。(正確にいうと耐震等級1しかとることが出来ません)なので、仕様規定で建てている会社さんは、耐震等級3相当という言葉で逃げを打っているのです。
 
耐震等級を取得するためには、2番目の性能表示計算を行う必要があります。
長期優良住宅を取得するためには、現行の基準では性能表示計算による耐震等級3の取得が必要になります。
色々と難しい話をしましたが、皆様が建てられる会社さんが、長期優良住宅の仕様になっていればひとまずは安心です。
 
しかし、筆者が絶対におすすめするのは、現行の基準の中で最も緻密な計算方法である構造計算(許容応力度計算)です。
 
 
性能表示計算で取得した耐震等級3と、構造計算(許容応力度計算)で取得した耐震等級3は、同じ耐震等級3でも、強度に約1.3倍の差が生まれます。なぜこんなにも差が生まれてしまうのでしょうか?
構造計算(許容応力度計算)は、性能表示計算よりもさらに詳細な計算を行い、柱や梁などの部材一つ一つの応力を計算します。(せん断、曲げ、引っ張り、圧縮の力に対して部材が耐えられる応力)また地震だけでなく、台風や荷重、ねじれに対してのバランスなどを解析することで、よりバランスの良い強固な躯体になります。
 
 
ちなみに、木造以外の住宅(鉄骨、鉄筋コンクリート、RC造)では、構造計算(許容応力度計算)が義務化されています。大手ハウスメーカーさんでは型式認定という方法で構造計算を省略してしまうケースもありますが、少し話が脱線してしまうので気になる方は調べてみてください。
 
個人的には、大地震の際に被害が多くみられる木造住宅こそ構造計算(許容応力度計算)を義務化すべきだと思うのですが、なかなかそこまでは国も踏み切れないみたいですね。
 
2025年の4月に4号特例の改正が予定されており、木造住宅の構造計算(許容応力度)の義務化がされると噂になっていますが、実はそんなことはなく、いまの現行の基準とさほど大きな変わりはありません。
 
4号特例とは、簡単に説明すると、一般的な木造住宅は構造計算を省略して建ててもよいという特例措置になります。
 
弊社も構造設計のアドバイスを頂いている、構造計算の第一人者でもある佐藤実先生の解説が分かりやすいので、お時間ある方はご覧になってみてください。
 
色々お話しましたが、

結論、構造計算(許容応力度計算)で耐震等級3を取得してくれる住宅会社を選んでください。

そのうえで、各社の+αの耐震への取り組みを見て、最終的に住宅会社を決定するのが良いかなと思います。
 
耐震+制振

制振とは

構造計算(許容応力度計算)で耐震等級3を取得するだけでも、建物の耐震性をかなり高めることはできるのですが、いまはワンランク上の耐震+αの二段構えで地震に備える会社さんが増えてきています。

特に主流なのが、耐震+制振の考え方です。免震という考え方もあるのですが、一般住宅で使われるケースは稀なので今回は割愛させて頂きます。

 

制振とは、地震の揺れのエネルギーを吸収し、建物へのダメージや影響を抑える考え方になります。

その地震の揺れのエネルギーを吸収する装置として制振ダンパーというものが用いられます。

 

大前提、なぜ制振が必要なのかというと、耐震だけでは繰り返し来る余震には対応しきれないからです。

 

※evoltz HPより抜粋

 

これは、熊本地震で起こった地震の回数をまとめたものです。

注目していただきたいのが、震度4以下の揺れの回数です。震度5以上の揺れが22回起きたのに対し、

震度4以下はなんと3790回も起こっています。

 

大きい地震ももちろんですが、この繰り返し来る余震が建物に徐々にダメージを蓄積していきます。

その結果、耐力壁を止めている釘が内部で緩んで、耐力壁が本来の耐震能力を発揮できなくなり、

いざ大きな地震が来た時に、倒壊してしまう可能性が出てきてしまいます。

 

 

そこで、繰り返し来る余震に対応できる「制振ダンパー」が必要になってきます。

 

evoltzとは

弊社で採用している、制振ダンパーは、evoltz(エヴォルツ)という商品になります。

制振ダンパーも各社色々な商品が出ていますので、どれがいいのか見定めるのは大変です。

 

まず、揺れのエネルギーを吸収して、建物へのダメージを軽減するというのは、

どの制振ダンパーに共通して言える性能だと思います。

 

弊社がevoltzを採用している理由は、evoltzが特許を取得した「極バイリニア特性」に数ある他の制振ダンパーよりも優位性を感じたからです。

 

一般的な制振ダンパーは揺れが大きくなってから減衰力を発揮するのに対し、evoltzは特許技術の「極バイリニア特性」により、小さな揺れから大きな揺れまで高い減衰力を発揮することができます。

先ほどご説明した、何千回と来る余震に対してしっかりと対応ができるのがevoltzなのです。

 

 

ちなみにevoltzは、ドイツのビルシュタイン社製造の世界トップクラスの品質になります。

車好きの方は、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

 

まとめ
弊社は、注文住宅事業を立ち上げてから、構造計算(許容応力度計算)を全棟行ってきました。
制振ダンパーもオプション対応ではなく標準仕様として全棟採用しています。
 
これは、浜松、静岡、豊橋などの東海エリアで家づくりをさせて頂く住宅会社として、
お客様の命を守る家づくりをしたいという会社の想いがあったからです。
 
立ち上げ当初は、構造計算(許容応力度計算)をやっている木造住宅もかなり少ない印象でしたが、
いまは、全棟標準で構造計算(許容応力度計算)をやっている会社さんも増えてきている印象です。
 
こうやって、耐震性に関しては住宅業界としての底上げが必要です。
 
本来、ご家族の命を守る家が、命を奪うものになってしまってはいけません。
 
幸和ハウジングは倒壊0を目指す家づくりを目指してこれからも成長していきます。
 
今回のコラムが少しでも皆様の参考になったら幸いです。
 
 
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この記事の制作者
  ■ 浜松・静岡・愛知エリアにて注文住宅事業を展開し、2023年に創業50周年を
   迎える住宅会社。累計棟数約4000棟の家づくりのお手伝いをさせて頂き、
   ハウスオブザイヤーインエナジー優秀賞9年連続受賞。
  ■ 有名建築家『谷尻 誠』氏や『藤原 徹平』氏と共同プロジェクトを組み、
   モデルハウス建築の実績あり。

  文章:中安 祐大

 

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